医療特集 健康診断・人間ドックについて ~早期発見から早期治療へ~

 

 健康診断で異常が見つからなければ、健康であることが証明された、と思っている人はいませんか。その認識は、要注意! 今回は、健康管理センター 酒井 亜希子医師に健康診断と人間ドックについて話を聞きました。

 

健康診断・人間ドックの役割

 健康診断・人間ドックの主な目的は、「日本人に多くみられる疾患やその兆候を、できるだけ早い段階で発見し、適切な対処に結びつけること」です。生活習慣病は自覚症状がない場合がほとんどで、血圧が高い、血糖値が高いなどのサインは、検査をしてみないとわかりません。病気の発見が遅れると治療に時間を要し、生活へのダメージが大きくなります。定期的に検査を受け、身体からのサインを見逃さないことが重要です。

 

健康診断・人間ドックの違い

 人間ドックは健康診断よりも検査項目が多く、身体のことをより詳しく調べることができます。例えば、人間ドックの超音波検査では、良くない生活習慣の蓄積により肝臓に脂肪がたまった状態である脂肪肝の兆候を見つけることができます。脂肪肝は放置すると肝炎や肝硬変、肝がんになるケースがあるため、なるべく早く対応することが重要です。そういったことがわかるだけでも、人間ドックは受ける価値があるものだと思います。
 人間ドックは何歳から、という基準はありません。しかし、結婚や出産、仕事で責任ある立場になるなどライフステージに変化が生じ、それまでの生活習慣が身体に出やすくなる35歳頃が目安とされています。

 

 

オプション検査の重要性

 残念ながら今の医学では、全身の状態をくまなく調べる検査はありません。健康診断や人間ドックはあくまで、生活習慣が身体に影響していないかをチェックするものです。気になる検査はオプションで追加するようにしましょう。
 健診医としては、消化器系の検査はなるべく受けていただきたいと思います。とくに、大腸がんは罹患数が全体の1位、女性では死亡数も1位となっています。自覚症状が出にくく、恥ずかしいなどの理由で検査を避けがちですが、大腸がんは早期発見であれば95%が治癒します。早期発見のためにも、大腸内視鏡検査のオプション追加をおすすめします。
 胃カメラも、定期的に受けるようにしましょう。胃カメラは直接胃の中を観察でき、場合によってはその場で組織検査などを行うことも可能です。バリウム検査も実施していますが、バリウム検査で病変を発見した場合、胃カメラで詳しく検査することになるため、当院では初めから胃カメラでの検査をおすすめしています。
 また、脳ドックは、40歳を超えたら1度は受けることをおすすめします。脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などの脳血管疾患は、高血圧や不整脈、糖尿病、肥満、喫煙などがリスクとなり、ある日突然発症します。脳に何らかの不安がないか定期的にしっかり確認し、生活習慣を見直していくことが重要です。
 女性特有の疾患である乳がんや子宮がん検診も非常に大切です。何かと忙しい日常とは思いますが、後回しにせず、定期的に受けましょう。当院では、女性医師や女性技師による検査も行っています。
 このほか、健康診断や人間ドックにどんなオプションを追加したら良いかわからない場合は、お気軽にご相談ください。当日の検査追加のご希望にも可能な限りお応えできるよう、体制を整えています。

 

要受診の結果が出たら必ず受診を

検査結果は、身体からの重要なメッセージです。受けるだけで満足せず、必ず結果に注目し、受診が必要と判断された場合はなるべく早く受診をしましょう。症状がないと受診しない方も多くいらっしゃいますが、先延ばしにしてしまうと、病気が進行し、命に関わる病気に繋がることがあります。当院では、総合病院の強みを活かし、二次検査や治療にも対応しています。要受診の結果が出たら、ぜひご相談ください。

酒井 亜希子(さかい あきこ)
〈資格〉
日本人間ドック学会 認定医、人間ドック健診情報管理指導士、遺伝学的検査アドバイザー、日本医師会認定産業医、日本耳鼻咽喉科学会 専門医、騒音性難聴担当医、めまい相談医、補聴器相談医

健康管理センターは改装工事を行い、5月8日にリニューアルオープンしました。

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