特集インタビュー 院長×看護部長

左:理事長 三瓶建二  右:看護部長 平野佳穂

4月に理事長、看護部長に就任し、7カ月が経過しました。この7カ月はいかがでしたか?

三瓶理事長:元々院長でもあり、今も兼務ですので、理事長になったからといって特に変化はありません。ただ、理事長は法人全体を見ないといけません。本院だけでなく、訪問看護ステーションやサテライトクリニック(にしよこ整形外科クリニック、にしよこ在宅クリニック)などを含め、より全体で考えるようになりましたね。とはいえ、基本的に今までも訪問看護ステーションともサテライトクリニックとも密に関わっていたので、特別な違いはありません。2019年に院長に就任して5年間やってきたことをより強化している、というふうに思っています。
平野看護部長:私はこの病院に来て最初の数年は看護部、そのあと訪問看護ステーションの管理者やサテライトクリニックの立ち上げなどに携わってまいりました。今回はまず、今の看護部の状況を把握するところからスタートしました。
三瓶:前任の看護部長が体調不良で、急遽次の部長を決めなければならず、多くの職員に意見を聞きながら、やっぱり適任は平野さんしかいないかな、ということでお願いしました。
平野:最初は、人員不足をどうするかという問題に追われたというのが正直なところです。看護師不足は多くの病院の課題ですが、当院もまずはそこからでした。おかげさまで、離職者も減り、7カ月経ってようやく人員確保が落ち着いてきたかな、という印象です。

新体制になった看護部では、大きな動きがあるんですよね?

平野:離職者が減ったのは、スタッフが新しい看護部に期待感を持ってくれているからだと考えています。今後の課題は、これからの看護部にスタッフがどれだけ賛同してくれるかどうか、だと思います。その一環として、看護部の理念を見直すことにしました。
三瓶:看護部と介護科はスタッフの大半を占める部署ですから、理念は重要ですね。
平野:これまでの「患者さんも私たちも納得の看護」から、より患者さんの生命、人生、生活を支えることを軸にしたものにしたいと思案しています。患者さんの生きる力を支える、患者さんがどこで生き、どこで終焉を迎えるかを支える、そして患者さんの生活を支える。当院の理念や病院ビジョンを踏まえ、看護部でも生命だけでなく、人生や生活にも着眼点を置くべきだと、刷新に向けて動いています。

当院は外来、一般病棟、地域包括医療病棟、回復期リハビリテーション病棟、地域包括ケア病棟、在宅医療の大きく6つの機能を持っています。その意義について、改めて教えてください。

三瓶:当院が持つ機能にはさまざまな側面がありますが、そのうちの一つが、高齢者医療です。急性期を支える病棟、リハビリに特化した病棟、自宅に帰る準備をするための病棟に加え、受け皿としての在宅医療があることが、当院の特徴であり強みだと考えています。
平野:高齢者の方々へ向けた医療を提供
する中で、看護師としては患者さんがいる場所をいかに居心地の良い場所にするかが課題です。急性期を脱して一般病棟から回復期リハビリテーション病棟に移ったとき、患者さんにしてみれば、その都度、看護師が変わってしまいます。これは仕方がないことですが、だからこそ看護師同士の部署間の連携、在宅に移行するときは在宅との連携、そして多職種連携が大切です。特に、良い医療・良い看護を提供し、患者さんの生活を守っていくためには、看護師同士や看護と介護の連携が非常に重要だと考えています。そこは大事にしたいですね。
三瓶:高齢になると、身体のさまざまな機能が低下します。耳が聞こえにくくなったり、腰が痛くなったり、おしっこが近くなったり。当院はそういったものをすべて一括して診られる病院なので、そこもこの地域に当院が存在している意義の一つだと考えています。

もうすぐ就任1年、新年度が始まりますが、今後の目標を教えてください。

三瓶:現在提供している医療と介護の機能を継続していくのはもちろん、地域に開かれた病院として、さらに医療の間口を広げていかなければなりません。その一つとして、新しいサテライトクリニックの開設を計画しています。来年度は、にしよこ整形外科クリニックとにしよこ在宅クリニックが開設2年目に突入しますが、おかげさまで順調に経過していますし、それらも含めて発展していければ幸いです。まだ今は準備段階ですが。
平野:看護部としては、これからはさらに看護の質に注力していきたいです。具体的には、身体拘束ゼロに向けての取り組みや誤嚥性肺炎のケアなどですね。当院が位置する地域は、戸塚区内でも高齢化率が高い地域なので、誤嚥性肺炎の予防にも力を入れていかなければいけません。コロナ禍前は誤嚥性肺炎チームがあったのですが、コロナ禍でその機能も弱くなってしまったので。少しずつ復活させていって、患者さんへより良い看護・ケアを提供していきたいです。また、それだけでなく、スタッフ一人ひとりがやりがいを持って働けるような環境も作っていきたいですね。